アナログ回路計の基礎知識:仕組みと使い方まとめ

回路計(マルチメータ、テスター)は、電圧、電流、抵抗などの測定を1台で行える保守点検用計器です。電気・電子技術者には欠かせないツールで、簡単な操作で複数の測定機能を切り替えて使用することができます。本記事では、アナログ回路計の構造、動作原理、操作方法を中心に解説します。

回路計とは?

回路計は、直流電圧、交流電圧、直流電流、抵抗などの基本的な電気量を測定できる計器で、「JIS C1202」によって規格が定められています。一部の機種では、交流電流、トランジスタの電流増幅率、コンデンサの容量、温度なども測定可能です。

回路計の機能と構造

主な構成要素

メータ(指針)

可動コイル形電流計を基盤にした指針型表示装置。

ロータリースイッチ

測定機能とレンジの切り替えを行うスイッチ。

ゼロオーム調整つまみ

抵抗測定時の調整用つまみ。

測定用端子

テストリードを接続する端子。

テストリード

測定対象に接触するためのリード線。

一般的な測定範囲

直流電圧: 0.1~1000V
直流電流: 50μA~10A
交流電圧: 2.5~1000V
抵抗: 1kΩ~20MΩ

回路計の内部構造

回路計の内部は、各種計器(電流計、電圧計、抵抗計など)が組み合わされ、ロータリースイッチによって適切な回路が選択される仕組みになっています。具体的な構成要素として以下が挙げられます。

分流器

電流測定時のレンジ拡大に使用。

倍率器

電圧測定時のレンジ拡大に使用。

整流器

交流電圧・電流を直流に変換。

内部抵抗(入力抵抗)

電圧測定時、回路に与える影響を低減するための抵抗。 通常2~50kΩ/V程度で、入力抵抗が高いほど測定精度が向上します。高精度測定にはFETを用いた高入力抵抗型が推奨されます。

回路計の操作方法

1. 電圧・電流の測定

設定

ロータリースイッチを「DCV」(直流電圧)、「ACV」(交流電圧)、または「DCA」(直流電流)に設定。

テストリードの接続

赤リードを+端子、黒リードを-端子に接続(直流の場合)。 交流の場合、極性を気にせず接続可能。

レンジ選択

測定対象の値が不明な場合は、最大レンジから始めて順次下げます。 適切なレンジを選ぶと、指針の振れが大きくなり、読み取りやすくなります。

測定

指針が静止した位置の値を読み取ります。

2. 抵抗の測定

ゼロオーム調整

テストリードを短絡(接触)させ、つまみで指針が「0Ω」(目盛右端)を指すよう調整します。

測定対象の接続

テストリードを測定対象に接続し、指針の値を読み取ります。

注意点

測定対象が電子回路の場合、必ず電源を切り、抵抗器の一端を回路から外して測定することで精度を向上させます。 抵抗測定時の目盛は電流・電圧の測定とは逆で、右から左へ昇順になっている点に注意してください。

3. 特殊測定(半導体の抵抗測定)

ダイオードやトランジスタの良否判定には、黒リードが内部電池の+極、赤リードが-極(多くの場合と極性が逆)として動作することを注意して操作します。

測定結果の見方

回路計の目盛は複数段に分かれており、測定項目ごとに対応する目盛を読み取る必要があります。適切な目盛がない場合は、他の目盛を倍率で換算して読み取ります。たとえば、100Vレンジの測定値を10Vレンジの目盛で読む場合は、指針の値を10倍します。

回路計の活用ポイント

汎用性

電圧、電流、抵抗を1台で測定できるため、多様な用途に対応可能。

精密測定への対応

高入力抵抗タイプや特殊端子の利用で、精度の高い測定が可能。

耐久性

内部構造はシンプルで信頼性が高い一方、FETを使用する高入力抵抗タイプは慎重な取り扱いが必要。

まとめ

アナログ回路計は、電気・電子技術者にとって必須の計測器です。その多機能性と操作性の良さから、幅広い用途で活躍します。基本的な構造や操作方法を理解し、適切なレンジ選択や調整を行うことで、正確な測定が可能になります。

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