アナログ電流計の基礎知識:種類・構造・正しい使い方

電流計は、電気回路内の電流を測定するために使用される計器であり、アナログ指示計器の中でも基本的な存在です。電流計はその用途や動作原理によって様々な種類が存在し、測定する条件に応じて選択する必要があります。本記事では、電流計の構造、種類、測定方法、さらに正確な使用方法について解説します。

電流計とは?

電流計は、回路内を流れる電流を測定するための装置であり、多くのアナログ指示計器の動作原理が電流計を基礎としています。電流計を適切に利用することで、電気回路の設計を確認したり、トラブルの原因を探るためのデータを取得したりすることも可能です。

電流計の測定方法

電流計を使用して電流を測定する方法には以下の3種類があります。

直接挿入法

回路を一時的に切断し、電流計を直列に挿入して測定する方法です。一般的かつ高精度な測定が可能ですが、回路を切断する必要があるため、作業性が低下する場合があります。

電圧降下を利用した間接測定法

回路内の抵抗器(シャント抵抗)の両端の電圧降下を測定し、オームの法則(I=V/R)に基づいて電流を計算します。回路を切断せずに測定可能です。シャント抵抗が必要で、計測精度は抵抗の精度に依存します。

磁界測定法(クランプメーター)

電流によって発生する磁界を測定する方法です。測定対象の導線をクランプ(挟む部分)で挟むことで電流を測定します。回路を切断せずに測定可能です。高精度は期待できませんが、大電流の測定に適しています。

電流計の種類

電流計は、直流用と交流用で分類され、それぞれの用途に応じた種類が存在します。

直流電流計

直流電流計には、主に以下の種類があります。

可動コイル形

可動コイルに流れる電流が磁界と相互作用し、針を動かす構造を持つ電流計です。感度が高く、小電流から大電流まで測定可能です。分流器を併用することで測定範囲を広げられます。

電流力計形

固定コイルと可動コイルの相互作用で駆動トルクを発生させます。基本は交流で使用しますが、直流でも使用可能です。ただし、精度は可動コイル形に劣る場合があります。

交流電流計

交流電流計には、以下のような種類があります。

可動鉄片形

簡素な構造で商用周波数(50~60Hz)に適し、耐久性が高いため、工業用途で多用されます。

電流力計形

固定コイルと可動コイルの相互作用で駆動トルクを発生させます。直流でも使用可能です。

整流形

交流を整流器で直流に変換して測定する方式です。測定範囲が広く、高精度な測定が可能です。

熱電形

電流による発熱を利用し、その熱を熱電対で直流電圧に変換して測定します。高周波数の測定に対応しますが、応答性が低いというデメリットもあります。

クランプメーター

電流を流れる導線をクランプ部で挟み込み、磁界から電流を算出します。操作が簡単で、大電流を手軽に測定できるのが特徴です。

電流計に使われる装置

分流器

直流電流計では、可動コイルに流せる電流が限られているため、大電流の測定時には分流器が使用されます。分流器は、電流計と並列に接続され、電流の一部をバイパスします。この仕組みにより、電流計の測定範囲を拡大します。

変流器

交流電流の測定時、大電流には変流器(CT:Current Transformer)が使用されます。変流器は、一次側の大電流を比例縮小して二次側に流し、通常の電流計で測定可能にします。ただし、二次側を開放して使用してはならず、法令に基づいてアースする必要があります。

電流計の正しい使い方

直流電流計の使用

回路に直列に接続し、極性(+-)を正確に合わせることが重要です。 使用前に指針が「0」を指しているか確認し、必要なら零位調整を行います。

クランプメーターの使用

測定する導線をクランプ部で挟むだけで電流を測定可能です。 クランプ部は完全に閉じるようにし、導線を直角に挟むとより正確な測定が可能です。

測定レンジの選択

不明な電流を測定する際は、大きなレンジから始めて徐々に下げていくことで計器を保護できます。

内部抵抗と誤差

電流計の内部抵抗が発生する電圧降下は測定精度に影響します。高精度な測定が必要な場合には、内部抵抗の小さい電流計を使用してください。

測定結果の見方と注意点

アナログ指示計器の目盛は、針の指示を正確に読むことが必要です。分流器や変流器を使用している場合、目盛の対応関係に注意し、正しい値を読み取る必要があります。クランプメーターでは目盛が直接測定値を示すため、変換は不要です。

まとめ

電流計は、直流・交流を問わず、電気計測における基本的な計器です。使用目的や測定条件に応じて適切な種類の電流計を選択し、正しい操作を心がけることで、精度の高い測定が可能になります。

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