ロジックアナライザの基礎知識:デジタル回路解析の強力なツール

ロジックアナライザとは?

ロジックアナライザは、デジタル回路の信号を解析するための計測器です。その特徴は、時間軸を基準にしたデータの取得と、デジタル信号の論理レベルを効率的に解析・表示する能力にあります。オシロスコープを進化させた形で登場し、特にタイミング解析に優れた性能を持っています。

例えば、マイコンを利用したシステムでは、動作不良の原因をソフトウェアとハードウェアのどちらにあるのか切り分ける必要があります。このような場面で、ロジックアナライザは非常に有用です。さらに、複数の信号をまとめて扱うことができ、システム全体を効率的に解析するのに適しています。

ロジックアナライザの内部構成

ロジックアナライザは以下のような主要な部品で構成されています。

コンパレータ

プローブから取り込んだ信号は、スレッショルド電圧(しきい値)と比較され、ハイまたはロー(1または0)の判定が行われます。信号が高ければ1、低ければ0として処理されます。これにより、複数のチャンネルでデジタル信号を正確に取得可能になります。

ラッチ

コンパレータで変換された信号は、サンプリングクロックのタイミングでラッチされ、取得メモリ(トレースメモリ)に記録されます。記録タイミングは、内部クロックと外部クロックのいずれかを選択可能で、測定の目的に応じて柔軟に対応します。

取得メモリ

取得メモリには、FIFO(First In First Out)方式が採用され、容量を超えたデータは古いものから順に上書きされます。また、記録するデータを効率化するためにトランジショナル方式を用いることもあり、これにより長時間のデータ記録が可能です。

ロジックアナライザの動作モード

ロジックアナライザには、解析目的に応じた2つの動作モードがあります。

タイミング解析モード

ロジックアナライザ内蔵のクロックを基準に信号を取得するモードです。この方法では測定対象のクロックとは無関係にサンプリングを行うため、ハードウェアの解析に向いています。特に複数の信号間のタイミングの微細な違いを観測する際に有効です。

ステート解析モード

測定対象のクロックに同期して信号を取得するモードです。このモードでは測定対象の動作に連動して信号を記録できるため、ソフトウェアの解析に適しています。たとえば、マイコンのデータバスやアドレスバスの状態を効率的に観測できます。

ロジックアナライザの操作手順

1. プロービング(測定対象への接続)

プロービングとは、測定対象とロジックアナライザを電気的に接続する作業です。この作業には以下の3つの方法があります:

フライングリード方式

クリップで接続する簡易的な方法。少数の信号測定に向いています。

専用コネクタ方式

設計段階で基板に専用コネクタを設置する方法。多チャンネルの信号測定に最適です。

コネクタレス方式

高速信号に特化し、信号パッドとプローブを直接接触させる方法です。

2. トリガ設定

ロジックアナライザでは、トリガ条件を設定することで、観測したいイベントを正確に捉えることができます。たとえば、特定のパターンやイベントの順番に応じてトリガを設定する「シーケンストリガ」など、高度なトリガ機能を活用できます。

3. データ取得とトリガポジションの調整

限られたメモリ容量を有効活用するため、トリガ発生位置を調整し、必要なイベントの前後を記録します。これにより、詳細な解析が可能となります。

ロジックアナライザのデータ表示機能

取得データをわかりやすく表示するために、以下の機能が用意されています。

コンペア機能

過去データとの比較で異常部分を明確化します。

Bus表示機能

複数ビットのデータをバスとしてまとめて表示します。

チャート表示機能

データをアナログ的に表示することで視覚的な解析を支援します。

シンボル設定機能

データ値に名称を対応付け、可読性を向上させます。

フィルタ機能

特定のデータを強調表示したり非表示にすることで、解析を効率化します。

デコード機能

専用ソフトウェアを使用して、逆アセンブラ表示などを行います。

ロジックアナライザの重要性と活用シーン

ロジックアナライザは、ハードウェアとソフトウェアの境界を解析する重要なツールです。特に、複雑化するデジタル回路や組み込みシステムの開発において、その活用価値は高まっています。

例えば、システムの動作不良を解析する際、原因の特定やトラブルシューティングにおいて、ロジックアナライザは欠かせない計測器です。また、教育機関や研究所でも、デジタル回路の学習や試作機の評価に使用されています。

まとめ

ロジックアナライザは、デジタル回路の信号解析を効率化するための計測器であり、その操作や表示機能は非常に多岐にわたります。システム開発の現場では、信号のタイミングや状態を詳細に解析することで、不具合の早期発見やシステムの最適化に寄与しています。

ロジックアナライザを活用することで、デジタル機器の設計や解析における生産性を大幅に向上させることが可能です。計測器の選定や活用を検討する際には、ぜひロジックアナライザの性能や特徴を考慮してください。

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